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萩原朔太郎評論集 無からの抗争
はぎわらさくたろうひょうろんしゅう むからのこうそう
作品ID55716
著者中原 中也
文字遣い新字旧仮名
底本 「新編中原中也全集 第四巻 評論・小説」 角川書店
2003(平成15)年11月25日
初出「ふらんす」1937(昭和12)年10月号
入力者村松洋一
校正者noriko saito
公開 / 更新2015-04-10 / 2015-03-08
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 萩原氏の本はよく売れるさうである。ところで萩原氏は文学的苦労人である。氏に会つてゐると何か暖いものが感じられる。だから氏の本がよく売れることは、私としても喜びである。
 氏は実に誠実な人で、いつ迄経つても若々しい。一見突慳貪にも見えるけれど、実は寧ろ気が弱い迄に見解の博い人である。然るに氏のエッセイはとみると、時にダダツ子みたいに感じられる時がある。蓋し淫酒のせゐである。而してその淫酒は、氏の詩人としての孤独のせゐである。
 私は何故だか萩原氏を思ふたびに、次のポオロの言葉をくちずさみたくなる。
「我は強き時弱く、弱きとき強し。」



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