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春の夕暮
はるのゆうぐれ |
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作品ID | 55904 |
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著者 | 中原 中也 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「新編中原中也全集 第二巻 詩Ⅱ」 角川書店 2001(平成13)年4月30日 |
入力者 | 村松洋一 |
校正者 | hitsuji |
公開 / 更新 | 2020-04-29 / 2023-06-15 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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塗板がセンベイ食べて
春の日の夕暮は静かです
アンダースロウされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は穏かです
あゝ、案山子はなきか――あるまい
馬嘶くか――嘶きもしまい
たゞたゞ青色の月の光のノメランとするまゝに
従順なのは春の日の夕暮か
ポトホトと臘涙に野の中の伽藍は赤く
荷馬車の車、油を失ひ
私が歴史的現在に物を言へば
嘲る嘲る空と山とが
瓦が一枚はぐれました
春の日の夕暮はこれから無言ながら
前進します
自らの静脈管の中へです