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(酒は誰でも酔はす)
(さけはだれでもよわす)
作品ID55915
著者中原 中也
文字遣い新字旧仮名
底本 「新編中原中也全集 第二巻 詩Ⅱ」 角川書店
2001(平成13)年4月30日
入力者村松洋一
校正者きゅうり
公開 / 更新2020-01-12 / 2019-12-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


酒は誰でも酔はす
だがどんな傑れた詩も
字の読めない人は酔はさない
――だからといつて
酒が詩の上だなんて考へる奴あ
「生活第一芸術第二」なんて言つてろい

自然が美しいといふことは
自然がカンヴァスの上でも美しいといふことかい――
そりや経験を否定したら
インタレスチングな詩は出来まいがね
――だが
「それを以てそれを現すべからず」つて言葉を覚えとけえ

科学が個々ばかりを考へて
文学が関係ばかりを考へ過ぎる
文士よ
せち辛い世の中をみるが好いが
その中に這入つちや不可ない



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